闇に溺れた天使にキスを。



「うん…!私も会いたい」
『それは嬉しいな。でも、ごめんね』


会いたいと言った直後に謝られたから、一瞬ダメなのかと思い不安になる。


『本当は俺から会いに行きたいんだけど、今いる場所から離れられなくて。だから白野さんが良ければでいいから、こっちに来てもらってもいい?』


けれど、どうやら謝罪の意味は私が思っていたのと違うかったようで、ほっと胸をなでおろす。


「なんだ、そんなこと……良かった」
『良かった?』

「会えないって言われると思っていたから…」
『だから“良かった”?』

「うん、良かったって安心したの」


もし断られていたら、悲しくなっていた。


『やっぱり白野さんは危険だ』
「へ…」

『もう絶対他の男にそんな姿見せないでね』
「う、うん…?」


そんな姿って一体どんな姿なのか。
私にはわからなかったけれど、一応頷いておく。

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