闇に溺れた天使にキスを。



『じゃあ今日の放課後、裏門に迎え呼ぶから』
「迎えなんてそんな贅沢…」

『贅沢じゃないよ。
白野さんひとりじゃ襲われるかもしれないから』


きっぱりと言い切った彼。
私ひとりじゃ、襲われる?

それほど危ない場所に彼はいるのだろうか。


「神田くんは今、大丈夫なの…?」

それなら学校にいる私なんかよりずっと、彼のほうが危ない。


『俺?俺は大丈夫だよ』
「でも、ひとりじゃ襲われる場所なんでしょう…?」

『違うよ。白野さんだから襲われるんだよ。
俺も白野さんになら襲っちゃうかも』

「……っ」


すぐさま『なんてね』と言われたけれど、神田くんに襲うという言葉を使われ、顔が熱くなってたまらなくなる。

冗談でも、まさか神田くんにそんなことを言われるだなんて。

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