闇に溺れた天使にキスを。
沙月ちゃんが教室から出たのを確認し、少し時間を置いてから私もここを後にした。
靴箱に行って下履きに履き替えた後は、裏門へ向かう。
正門とは反対側にあるため、校舎の中か裏を通らなければならず。
私は目立たないよう、校舎裏を通ることにした。
けれど、どうやらこれが失敗だったようで───
「お前が白野未央?」
「……え」
校舎裏で、人影が見えた瞬間。
来た道を戻ればよかった。
少し薄暗い場所でもわかるくらい、私のフルネームを言った相手の髪は金色に輝いていて。
制服も着崩し、目つきも鋭く。
明らかに“不良”である男の人に私は目をつけられてしまったようだ。
今日は先輩との遭遇率が高い。
朝は平沢翔先輩。
そして今は───
学校一の不良で知られる、喧嘩っ早いと噂の先輩。
名前は足立 俊斗(あだち しゅんと)先輩。
彼のことはさすがの私でも、一年の時から知っていた。