闇に溺れた天使にキスを。
「俺が総長の佐久間です。
怖い思いさせてごめんね、もう大丈夫だから」
「……え」
私の目の前にいる神田くんが、目を細めて柔らかな笑みを浮かべる。
けれど私は思考回路が停止し、呆然としてしまう。
「白野さんの言う“総長”は、俺のことだよ。
だからもう怖がらなくていい」
彼の指が私の頬に触れ、優しく撫でられるけれど。
恥ずかしい気持ちよりもずっと、驚きのほうが大きくて。
神田くんが総長の佐久間、さん?
私の言う“総長”は───
神田くんだと言うの?
「う、嘘だ…だって、そんな」
「……おい、いくら佐久間のお気に入りだからって偉そうに嘘つき扱いすんじゃねぇよ」
信じられないでいたら、私の言葉を遮るようにして近くにいた銀髪の男の人が口を開いた。
明らかに怒っている声に、さらには睨まれていて思わず肩がビクッと跳ねる。