闇に溺れた天使にキスを。
「涼雅(りょうが)。
この子を怖がらせたらいけないって約束、忘れた?」
「……っ、でも総長に対して失礼だろ?」
銀髪の人とは敬語をなくして話している。
対等な関係なのか、それとも同期か何かなのか。
ただ、今の神田くんの言葉で少し怯んでいる様子ではあった。
「失礼じゃないよ。
白野さんは何も知らないから」
怖かったね、と続けて話す神田くんが、また私の頭を撫でた。
「大丈夫。涼雅は見た目が怖いだけでいいやつだから。
実際、信頼して副総長を任せてる」
「副、総長……」
副とは、次に偉いこと。
つまり二番目にすごい人だから、ふたりは敬語をなくしたやりとりをしているの?
ダメだ、先ほどから頭が追いつかない。
それに───
神田くんがどうして“佐久間”という偽名を使っているのかも謎のまま。