闇に溺れた天使にキスを。



「抜け出せない、の?」


暴走族って、ずっとそこに留まることになるの?

大人は暴走族にいるというイメージがあまりなく、想像できない。


今日も確か、ほとんどが学生だったはず。
見た目がすごく若い人たちだらけだった。


「ああ、抜け出せねぇ。
俺たちは子供のアソビをやってるわけじゃねぇからな」

「子供の、遊び…」
「拓哉の刺青、見たんだろ」


どきりとした。
不意に、そんなことを言われて。

それと暴走族の、何が関係あるのか。
もしかして───


「ある、よ……あれは、仲間の証、とか?」


今日会った人たちはみんな、あの神田くんのように鳳凰の刺青を入れてあるんじゃないかと思った。


「いや、仲間の証というより覚悟と忠誠」

次の瞬間。
涼雅くんが、着ていたシャツのボタンを開け始めた。


「な、何して…」
「俺も入れてある。和彫り」


思わず固まってしまう。

覚悟と忠誠を誓う和彫りが涼雅くんの体にも入れられていて、さらには見せられたとしても。


私はどうすればいいのかわからない。

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