闇に溺れた天使にキスを。
「バレたらいけないの?」
だから、佐久間を名乗っている?
「ああ。暴走族でも情報の流れは早えし、油断できねぇ。
それに、学生時代ぐらいまでだからな。静かに暮らせるのって。本人は気にしてねぇけど、組長の命令。
とりあえず高校に通って、ちゃんと一般教養は学べって。だからまだ刺青だって入れてねぇし」
組長、とは神田くんのお父さんのことだ。
やっぱり親として、学校に通ってほしいという思いがあるのだろうか。
それはわからなかったけれど。
「……でも、神田くんも刺青入れてあるよ?」
鎖骨あたりから、鳳凰の刺青が。
私はこの目で何回も目にしている。
「言っただろ?拓哉は特殊だって」
「じゃあ意味がある、の?」
「そういうこと。あんま詳しくは知らねぇけど、あれも組長の命令らしい」
組長のワードがたくさん出てくるけれど、まったくイメージができない。
いったい涼雅くんの言う組長とは、どういう人なのだろうか。
神田くんでも十分恐れられているのに、組長ならばそれ以上なはず。
つまり、神田くん以上の人。
その時点でもう何も思い浮かばない。