闇に溺れた天使にキスを。
「あ、あのね…みんな誤解しているんだけどね、昨日はお兄ちゃんとお出かけしてて…それで」
チャンスだと言われ、頑張ろうと意気込んだのは良いものの。
うまく言葉にできなくて、グダグダでつまらない話になってしまう。
どうしてこうも口下手なのだ。
きっとこんな話、つまらないだろうなと思い恐る恐る顔を上げたけれど。
「……っ、待ってもう無理…」
「へ?」
ひとりの女の子が私から目を背けたかと思えば、なぜか頭を撫でられてしまう。
「あ、あの…?」
「待って、美亜(みあ)だけずるい!
あたしも白野さん触る!」
「先駆けはなしって約束したじゃん!」
「え……えっと?」
最終的に3人に囲まれてしまい、よくわからない状況になる。
「やっと夢叶った…!」
「ゆ、夢?」
「こんなかわいい白野さん、抱きしめたかったの!
もう本当に何この小動物感!」
さらにはぎゅーっと抱きしめられ、少し苦しくなる。
「3人とも、未央が困ってるから」
今の状況を理解できないでいたら、沙月ちゃんが助けてくれた。
「いきなりごめんね…!」
「実はずっと白野さんと仲良くなりたくて」
一度状況を整理するため、3人は私から離れたかと思うと、ひとつずつ丁寧に説明してくれた。
同じクラスになってから、ずっと私と仲良くなりたいと思ってくれていたらしい。
「えへへ…夢見たい」
とっても嬉しくて、思わず頬が緩む。
だって新しく友達ができたのだ。
「……っ、かわいい無理」
けれどなぜか3人に顔を背けられてしまう。
「この子たち、ずっと私に未央のかわいさ語ってきたから本当にいつも大変だったのよ」
「わ、私のかわいさ…!?」
沙月ちゃんの衝撃発言を信じられず、首を何度も横に振る。