闇に溺れた天使にキスを。
私だって、神田くんに聞きたいことがたくさんあるのに。
宮橋先生との関係が知りたいのに。
臆病な私は聞けない。
その後、すぐにチャイムが鳴って先生が来たため、神田くんに言葉を返すことができなかった私。
席に着いてから神田くんのほうを見たけれど、彼は私を見向きもせず。
休み時間もいつものように、静かに本を読んでいた。
わからない。
神田くんのことがこれっぽっちも。
彼女の資格がないくらい、わからないのだ。
もしかしたら宮橋先生のほうが、神田くんのことを知っているかもしれない。
そう思うとまた泣きそうになる。
泣いてしまえばメイクが台無しになるため、必死で我慢した。
幸い、メイクのことは誰にも触れられていない。
もし聞かれたところで上手く答えられる自信がないからちょうどよかった。
「では今日はこれで解散。
気をつけて帰るように」
そんな中で、いやでも訪れてくる放課後。
担任の先生のひと言でホームルームが終わる。
ぞろぞろとみんなが帰っていく中、私は帰ることができない。
神田くんに放課後、話をしようと言われたからだ。
もちろんそれが良い意味じゃないってことぐらい、わかっているから期待しない。
というかむしろ不安で、怖かった。
「白野さん」
まだ教室に数人残っていたけれど、突然神田くんに話しかけられる。
油断していた私は、思わず肩がビクッと跳ねた。