闇に溺れた天使にキスを。
「うー…」
「そんな不安なるなら、一回自分から別れ切り出してみれば?そうしたらお前、多分拓哉にめちゃくちゃされるだろうけど」
そう言って涼雅くんが意地悪そうな笑みを浮かべるから、一瞬ゾクッとした。
めちゃくちゃに、される…?
「それぐらい拓哉はお前に惚れてる。だから拓哉がお前を離すことはねぇよ。わかったら泣くな」
そんなこと言われても、素直に頷けない。
だって私がいる限り神田くんはより危険な状況に陥るのだ。
そのためもう一度言い返そうとしたけれど。
「それでも私がいたら、神田くんが」
「俺だって命懸けてお前と拓哉を守るつもりだから。拓哉をひとりにはさせねぇし、お前も俺が守る対象」
私の言葉を遮るようにして、涼雅くんが真剣な表情で話した。
神田くんは仲間だから守るというのはわかる。
けれど、どうして私まで…?
「言っとくけど、これは拓哉からの命令じゃねぇから。自分の意思でそうしたいと思ってる」
すべて話し終えたかと思えば、最後に『じゃあな』と言い残し、私に背中を向けて去ってしまう。
結局詳しいことは聞けなかったけれど、今の言葉で少し心が軽くなったような気がした。