闇に溺れた天使にキスを。
「あ、あった」
「……涼雅くん?」
部屋に入るなり何かを探し始めた涼雅くんを見て不思議に思っていると、あるものを手渡される。
それはバスタオルと何やら綿生地の、服に見えて服ではないものだった。
「これは…?」
「風呂上がりに着るガウンってやつ」
「ガウン……?」
聞いたことのない言葉に首を傾げていると、とりあえずシャワーを浴びろと促される。
そのため素直にシャワーを浴びることにした。
シャワー室も比較的綺麗で、40度に設定したお湯のシャワーで冷たい体を温める。
「……あったかい…」
何気なく呟いた言葉はシャワー音に虚しくかき消され、何故だか泣きたくなった。
今はひとりの時間のため、余計なことまで考えてしまい。
今日の朝からあったことがすべて脳内リピートされ、気づけばまた涙を流していた。
弱い自分。
朝までは神田くんと笑い合っていたのに、それがまるで嘘だったかのように彼の様子が変わっていて。
先ほど見た神田くんが本来の姿かもしれないのに。
落ち込んでいたらダメだ、涼雅くんに心配されてしまうと思い涙をシャワーで流して引っ込めるよう努力する。
それから一通り洗い終えたところでお風呂を上がった。
バスタオルで全身を拭き取り、慣れないガウンというものを着るけれど。
「……っ、何これ」
心も体も子供の私が着るべきでないほど、大人な服に思えた。
まったく似合わないけれどずぶ濡れの制服を着るわけにもいかず。
涼雅くんに笑われる覚悟でシャワー室を後にし、ベッドのある部屋に行ったのだけれど───
「……へ、涼雅くん…?」
涼雅くんの姿がなかった。
部屋をぐるりと一周見渡したけれど、やっぱり彼の姿はない。