闇に溺れた天使にキスを。
「フロントに従業員がいねぇところもある」
まるで何回もホテルに行ったことのあるような言い方をする涼雅くん。
別に深い意味はなく純粋な意味だとわかっているけれど、免疫のない私は戸惑ってしまう。
「あ、あの…」
「黙ってついてこねぇとそれこそ食うぞ」
「なっ……あ…」
平然と言ってのける涼雅くんに、私は何も返すことができなかった。
結局やって来たのは一番近くにあるホテルで。
中は想像以上に綺麗で驚いてしまう。
エントランスには従業員がひとりもおらず、機械で手続きを済ませる涼雅くん。
それにしても───
「……手慣れてる」
「は?」
初めてなら絶対に戸惑ったり操作の説明を詳しく読むはずなのに、涼雅くんの手は一向に止まらずに手続きが終了したのだ。
「何回も、来たことあるの…?」
「まあ何回かは。
制服着なけりゃ、学生に思われねぇし」
確かに涼雅くんも神田くんも、私服やスーツ姿だったとしたら絶対に学生には見えないだろう。
容姿が整っている上に大人びており、背も高い。
「あんまここにいると人通るかもしれねぇから行くぞ」
軽く周りを見渡した後、涼雅くんは私の腕を引いて部屋へと向かった。
「……え、すごい」
部屋の中に入ると、エントランスと同じでとても綺麗だった。
少し暗かったけれど、お洒落な造りとなっている。
イメージとは全然違う買ったため、驚いてしまう私。
「あー、なんか最近は女子会とかここでしたりすんだろ?」
「そうなの…?」
「ああ、お前は女子会なんてしねぇか」
なんか友達がいないと遠回しに言われたような気がして、思わずムッとする。
確かにいないから何も言い返せないけれど。