闇に溺れた天使にキスを。
「あー、泣くな。遅くなって悪かった。手間取ったんだよ。女の服とかどれがいいかわかんねぇし」
涼雅くんは少し面倒くさそうに謝りながらも、慰めるようにして私のそばまで来て頭をわしゃわしゃと撫でてくれた。
「うう…」
「俺が消えたとでも思ったのか?」
「捨てられたのかと、思ったの…」
「バカ。お前をほっとくわけねぇよ」
小さく笑った涼雅くんを見上げると、優しい笑みを浮かべていて。
心がポカポカ温かくなるのがわかった。
「……っ、こっち見んな」
「へ……」
けれど私が見上げるとすぐ顔を背けてしまう涼雅くん。
「俺が風呂入ってる間に服、着替えとけよ。ガウン着てほしくなくて買ってきたのが一番の理由なんだからな」
「……着てほしく、ない…?」
それは私が似合わなさ過ぎて、笑いそうになるからだろうか。
「当たり前だろ。
こんなの着られたらそういうムードになる」
「ムード…」
「とりあえずこっち見んな、早く着替えとけよ」
最後は投げやりに言葉をぶつけられた後、涼雅くんは私のほうを一切向かずにバスタオルと新しく買った服を持ってお風呂場へと行ってしまった。
入ったのを確認すると、私はゆっくりと立ち上がり、涼雅くんが買ってきてくれたという服一式を手に取って着替える。
「……やっぱりちょうど良かったな」
「え?」
それからしばらく経ち、涼雅くんがお風呂から上がるなり私を見てそう言ってきた。
涼雅くんの買ってきてくれた服は、七分袖のシャツに七分丈のズボンで、この時期には少し暑いかもしれない格好だったけれどもちろん文句なんて言える立場じゃない。
「少し暑いだろうけど我慢しろよ」
「我慢…じゃあ、やっぱりあえてこれを選んだの…?」
「当たり前だろ。あんま露出されると困るから」
「……どうして?」
意味深な言葉を連発され戸惑ってしまう私に対し、盛大なため息をつかれてしまう。