闇に溺れた天使にキスを。
「悔しい?」
「……っ」
「悔しいから泣いてるの?」
神田くんは無理矢理私の顎を持ち上げ、視線を合わせられる。
まるで凍てつくような眼差しを向けられていた。
「面白くない反応だね」
「……じゃあ、どんな反応すればっ…」
今の神田くんは何を考えているのかまったくわからない。
悔しがればいいの?
それとも悲しくて泣けばいいの?
それで神田くんは満足するの?
面倒くさいって思うでしょう?
様々な考えが脳内を駆け巡り、次第に混乱していく。
目の前に神田くんがいる今の状況は、実は夢なんじゃないかと思ってしまうほど。
だんだんと頭がぼーっとしてきて、立っているのも辛くなるほどグラグラと視界が揺れ始める。
「もっと怒り狂ってよ。深く嫉妬して、束縛して。
俺だけの白野さんじゃなかったの?」
私に迫る彼は、私の知らない表情をしていて。
素直に怖かった。
全身が震え上がるほど怖いと思った。
「……っ」
早く逃げないと。
身の危険を感じた私は力いっぱい抵抗しようとしたけれど、体にうまく力が入らなくてそれできない。
もう色々と限界だった私は、目から涙がこぼれ落ち───
頭の痛みが増し、だんだんと視界が狭まっていく。
「……う、あ…」
目眩がひどくなり、立っているのも辛くなる。
咄嗟に神田くんのシャツを掴む。
「……白野さん?」
早くこの手を離さないといけないのに、だんだんとひどくなるばかりで。
最終的には神田くんにしがみつく形で、体重をかけてしまう。
だんだんと意識が遠のいていき───
プツッと糸が切れたかのように目の前が真っ暗になり、意識が完全に途切れていた。