闇に溺れた天使にキスを。
*
「白野さん。今日ってこの後、空いてる?」
6限目の授業が終わり、ホームルームを行うため、担任の先生を待っていたら。
突然神田くんが私の席にやってきて、いつも通りの優しい笑顔で聞いてきた。
それなのに私は昼休みのことを思い出し、また肩がビクッと跳ねた。
「……白野さん?」
「あ、えっと、今日用事があって…」
嘘、本当は用事なんてない。
けれど彼とふたりきりになれば、何やら危険が伴ってしまうような気がして断ることにした。
断ることに罪悪感はあるため、俯いて彼の視線から逃れる。
そして彼が口を開くのを待っていたら。
「おいおい、朝から気になってたんだけどふたりって付き合ってるのか!?」
このクラスのムードメーカーである男の子が、私たちの関係を気にして話しかけてきた。