闇に溺れた天使にキスを。
静かになる教室。
思った以上に私の声が大きかったようで。
一気に顔が熱くなり、慌てて俯くけれど尋常じゃないほどの恥ずかしさに襲われる。
このまま消えてしまいたいと思うほど。
ぎゅっと目を閉じ、思わず泣きそうになっていると───
「白野さん、行こう」
「へ……」
神田くんの優しい声が耳に届いた。
少し涙で視界が歪む中、顔を上げると神田くんが穏やかに笑っているのがわかる。
「静かな場所に移動しようか」
神田くんの大きな手が私の腕を優しく掴み、そっと引いた。
自然と動く足。
静かになったはずの教室が、今度は騒がしくなる。
「か、神田くん…まだ、ホームルーム……」
「大丈夫、白野さんを連れ去った俺が悪いだけだから」
彼はそう言って、本当に私の腕を引きながら教室を後にした。