天然たらしが本気を出す時。
「で、どうだったの!?」
教室に戻るなりミユに肩を掴まれて 思わず「うおっ」と変な声を上げてしまった。
あ、そうだね。報告しなくちゃ。
「麻里ちゃんのことかわいいって言ってたよ」
「ほ…んと?」
そう言って目を輝かせるのは、私の肩を掴んでいるミユ、ではなくて横で話を聞いていた麻里ちゃん。
「うん、本当だよ」
そう言ってにこりと微笑むと
「そっかぁ…。よかった、…」
胸に手を当て安堵した様子。
そして、私たちの会話を聞いていたミユが
「可愛いって思ってる女の子に告白されて嫌な人はいないでしょ!麻里ちゃん、チャンスだよ。頑張れ!」
そう声をかけると麻里ちゃんは
「うん…!覚悟決めて来週あたりに告白してみるっ」
と嬉しそうに笑った。
とその時、誰かにちょんちょんと肩を叩かれた。
振り向くと少し気まづそうにしている七瀬君がいて
「話の最中にごめん、橘さん。委員会の仕事あるんだけど行ける?」
そう言われて思い出した。
今日は私達が図書当番だったんだ。
「え、あ…そうだった!
ごめんね、すぐ準備するね」
慌てて鞄に教科書を詰め込みミユ達に
「ごめん!委員会の仕事あるから行ってくるね!」
と足早に言い
「お待たせしました、七瀬くん。行こう!」
七瀬くんと教室を出る。
二人で廊下を歩きながらふと思い出したのは
『私、七瀬くんのことが好きなんだよね』
そう、あの日私が言ってしまった言葉。
あああ 本当なんであんなこと言ってしまったんだろう。
教室出る時も心なしかみんなニヤついてたし…。
「…橘さん」
「、え?」
「眉間にしわ、寄ってる」
とんとんっと指で自分の眉間を叩いて、コテンっと首を傾げる七瀬くん。
「うそっ、気がつかなかった」
「…悩みごと?」
「んー。悩みごとというか、自分のやらかしたことに後悔中…的な?」
あなた絡みのことなんですけどね…!
まあ、それだけではないのだけれど。
「そっか。
それにしても橘さんってよくやらかすよね」
そう言ってふっと悪戯げに笑う七瀬くん。
ま、まじかー。
七瀬くんにそんな風に思われてたのか。
でも確かに委員会の仕事でもやらかしちゃったことあったな…。
私にできることじゃなかったのに勢いで出来ますって言って撃沈したのを思い出した。
そういえば、その時七瀬くんが仕事一緒にやってくれたんだった。
「……反論する余地もないです…」
言い返す言葉もないよ。。
「ははっ、ごめんごめん。責めたいわけじゃなくて
橘さんはよくやらかすけど沢山頑張ってるっていうのを言いたかっただけ」
優しくふわりと笑う七瀬くんのその言葉に
「……うっ、七瀬ぐん"ん"ん"、ありがどう"う"」
私はめちゃくちゃ感動した。
「ははっ、かわいい」
と同時に、七瀬くんの天然たらしぶりを再度確認させられた。