インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
仕方ないな。

駅を出ればジャージ軍団たちから解放されるはずだし、あとで連絡しよう。

尚史を追い掛けることをあきらめ、苦手な男子の集団に囲まれながら下を向いて歩いていると、私の左腕に何かが何度も当たっていることに気付いた。

ジャージの誰かの荷物が当たっているのかとも思ったけれど、横にずれて避けてもそれは変わらず、どう考えてもこれは何度も同じところに意図的に当てているとしか思えない。

そして私の横辺りを歩いている人がどんどん私に近付いてきている気配にも気付いた。

それは明らかに背が足りないので尚史ではない。

おそるおそる顔を上げて横を見ると、真っ昼間から酔っ払って顔を真っ赤にしたオジサンが、ニヤニヤしながら私の腕に手の甲を当てていた。

「やーっと気付いてくれたよ。お嬢ちゃんひとり?奇遇だねぇ、オジサンもひとりなんだよ」

いやいやいや、私はひとりじゃないし、お嬢ちゃんと呼ばれるほど子供じゃないし!

ってか、オジサン誰よ?!

いつの間にジャージの若い男子に紛れ込んだんだ?

「お互いにひとりで寂しいね。オジサンと一緒に楽しいところに行こうよ」

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