インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「横見たらいないし、後ろ向いたら酔っ払いに絡まれてるからビックリした」

「追い付けなくてはぐれちゃった」

「ごめんな」

隣に座っている尚史は両腕で私の体を抱き寄せながら優しく頭を撫でる。

あれ……?ちょっと待って。

冷静になってみたらこの体勢はなんて言うか……もしかして私、今尚史に抱きしめられてる?!

しかもさっきまた私のこと『彼女』って、しれっとした顔で言ったよね?

いや、確かに今の私たちは仮想カップルで、私は尚史の仮想彼女だし昨日もそう言われたんだけど、他人に向かって改めて言われるとやっぱり妙に恥ずかしい。

さっきまでは恐怖で青ざめていた私の顔がどんどん赤くなっていくのが自分でもハッキリとわかった。

「なんかモモ、最近ひとりになるとやたら絡まれやすくないか?まったく油断も隙もあったもんじゃない!」

尚史は少々興奮気味にそう言って、さらに強く私を抱き寄せた。

心拍数が急激に上がって胸が苦しい。

頼むから火に油を注ぐようなことをしないで!

「尚史……落ち着いて……?」

「やっぱはぐれないように手を繋いでおくべきだったな。いっそのこと抱えて歩くか」

< 123 / 732 >

この作品をシェア

pagetop