インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
抱えて歩くって、そんなのどう考えてもおかしいでしょ?!

乳幼児じゃあるまいし、何が悲しくて白昼堂々だっこされて人目にさらされなきゃいけないんだ!

「お願いだからそれだけはやめて……。それであの……とりあえず離してもらえるかな……」

「あっ……」

尚史はあわてて私から手を離した。

どうやら無意識のうちに体が勝手に動くらしい。

こいつはとんだ無自覚イケメンだ!

「なんかごめん……」

「うん……」

「とりあえず……少し落ち着いたらどっかで昼飯でも食おう」

「そうだね……」

しばらくの間、私も尚史も無言でベンチに座っていた。

尚史は肩が触れ合うくらいすぐ隣に座っている。

ついこの間まではこんなに近くには座らなかったし、二人でいても体に触れることなんてなかったのに、尚史はカップルと言う設定になった途端にやけに積極的に私との距離を縮めてくる。

もしかしたら本物の彼女といるときはベタベタイチャイチャしていたんじゃないかと思うと、なんとなくモヤッとした。

尚史は誰と付き合っても長続きしなかったし、私と同じくらい恋愛偏差値が低いと思っていたけど、そうでもないのかも知れない。

< 124 / 732 >

この作品をシェア

pagetop