インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史は私の手を引いて歩き出す。

確か昔もこんなことがあったな。

幼稚園の頃、二人で家のすぐ近くにある公園で遊んでいたら、通り掛かった車の後部座席の後ろに当時私たちが大好きだった特撮ヒーローのソフビ人形がズラリと並んでいて、夢中になって追いかけているうちに帰り道がわからなくなってしまった。

二人でさまよっている間もずっと尚史は泣いている私の手をしっかりと繋いで、「きっともうすぐ家に着くよ」とか「大丈夫だよ」と励ましてくれた。

結局たいして遠く離れた場所ではなかったから、すぐにうちの母が見つけてくれて無事に帰れたのだけど、今になって思えば、きっと尚史も不安だったはずなのに、幼心に一生懸命私を守ろうとしてくれていたんだと思う。

そういうところは変わらないんだなと思うと、なんだか妙に嬉しくなった。


次のターゲットのカップルを見つけてその後ろを歩き、たどり着いたのは『シーサイドガーデン』という海辺の商業施設だった。

たくさんのショップや飲食店の並ぶエリアと、映画館や公園、イベントの開催される広場などもある人気のスポットらしい。

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