インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「まあ!お似合いですこと!お客様、スマートでお肌が白くていらっしゃるから、とてもお綺麗ですわ!」

「はぁ……痛み入ります……」

年の功と言うか商売上手と言うか、お世辞の達者な年配のサロンスタッフに誉めちぎられ、無性に恥ずかしくて今すぐドレスを脱ぎ捨てたい衝動に駆られた。

「こんな素敵な花嫁さんでしたら、新郎様も惚れ直されること間違いなしですわね」

「は、はぁ……」

惚れ直すも何も、尚史は元々私に惚れてなんかいないんですがね。

尚史のことだから、良くて『馬子にも衣装だな』と笑うのが関の山で、おそらく『何着てもモモはモモだな』と言うだろう。

「あのー……そろそろ脱いでも?」

「その前に、せっかくですから新郎様にもご覧になっていただきましょう」

「えっ?!いや、あの、それは……」

有無を言わさず試着室から引っ張り出されると、いつの間に着替えたのか、そこにはタキシード姿の尚史がいて、私はその隣に立たされる。

「新郎様も背が高くて美形でいらっしゃるから、とてもよくお似合いですわね。お二人ともとても素敵!本当にお似合いのカップルでいらっしゃる!」

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