インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「ありがとうございます。モモ、俺たちお似合いだって」

「わー……嬉しーい……」

なんだ、このわけのわからん状況は?

尚史はまんざらでもなさそうな様子で笑みを浮かべ、鏡に写る二人の姿を眺めている。

まさかこのまま挙式予約なんてことにはならないよね?

「すみませんが写真をお願いしてもいいですか?」

尚史が尋ねると、私にドレスを着せてくれた年配のスタッフがニコニコしながらうなずいた。

「ええ、もちろんようございますよ」

「僕のスマホでお願いしたいんですが……あっ、スマホは鞄の中だった。取ってきます」

「それでしたらわたくしがお持ちしますので、そのまま少々お待ちくださいませ」

スタッフが試着室に向かうのを見計らって、私は尚史のタキシードの袖を引っ張った。

「ねぇちょっと、いつの間に尚史まで……」

「ん?モモを待ってる間に俺も試着してみないかって、オバサンに連れていかれた」

「けっこう強引だよね……。尚史、予約勧められてもちゃんと断れる?」

小声で尋ねると、尚史は笑いながら私の耳に顔を近付けた。

顔近っ……!

不意を突かれた私の心臓が暴走を始める。

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