インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「そこは任せとけ。だからモモも幸せな花嫁さんになりきって、俺に話を合わせてよ」

尚史は耳元で囁くように余裕たっぷりにそう言って、私の顔を両手で包み込み、くいっと上を向かせた。

こっ、これはもしかして……漫画でよく見るあのシーンじゃ……?

えっ?えっ?!私、尚史にキスされるの?!

しかも私は初めてなんですけど!!

いくら気分が盛り上がったからってこんな場所で……いや、気分や場所がどうとか、初めてだからとか言う問題じゃなくて!

なんなの?!

こんなの聞いてないし!

仮想カップルにもリアリティー大事か!

尚史の行動が理解できずあたふたしていると、尚史はおかしそうに笑いながら、真っ赤になっているであろう私の両頬を指先で軽く摘まんで引っ張った。

は……?

何これ、そういうベタなオチ?

別の意味で驚き拍子抜けした私は、ポカンとして尚史のなすがままにほっぺたをこねくり回される。

「ほらモモ、笑って」

「……バカッ!ほっぺた引っ張んないでよ!」

「モモが緊張してガチガチだからほぐしてやってんの」

周りからクスクスと小さく笑う声が聞こえた。

サロンスタッフやら他のカップルに、私の変顔が笑われとるやないか!

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