インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「どうして急にそんなこと言うの?」

「別に……モモはホントにそれでいいのかなって、思っただけ」

「そんなこと言ってる場合じゃないって、尚史だって知ってるでしょ?」

「……そうだな。だけどモモは今のままだと、八坂さんに迫られたらきっと突き飛ばしたり殴ったりすると思う。俺がちょっと触ったり近付いたりしただけでもガチガチになるんだから」

かなり痛いところを突かれてしまった。

私自身もそれは不安に思っていたところだ。

経験値を積むには実戦をくり返すしかないわけだけど、内容が内容だけに、それこそ好きでもなんでもない相手を手当たり次第につかまえて練習することはできない。

RPGのレベル上げみたいにはいかないのだ。

「こればっかりはさすがにね……誰かに練習させてもらうわけにもいかないし」

「何言ってんの?だから俺がいるんじゃん」

「……え?」

「俺、徹底的にガチでやるって言っただろ。キスとか実際にはしないけど、雰囲気はつかめるように流れだけ練習するって意味だ」

「……流れだけ……って何?」

「だから例えば……」

尚史は私の肩を抱き寄せ、反対の手の指先で私の顎を持ち上げて上を向かせた。

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