インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「ねぇ尚史、やっぱりそろそろ……」

『駅に戻ろう』と私が言おうとしたとき、ターゲットがすぐ先の角を右に曲がって脇道に入った。

こんな脇道を通ってどこかへ行こうとしているんだから、やっぱりこの辺りの人なんだな。

そう思いながら尚史に手を引かれて角を曲がり、ターゲットのあとを追う。

脇道に入って間もなく、そんなにたくさん街灯があるわけでもないのに、辺りがやけに明るくなった。

どうしてこんなに明るいのかと顔を上げると、その明るさの正体がいくつも並んでいる大きな建物を照らしている灯りだということがわかる。

それにしても国道沿いから外れたこんな場所に密集しているなんて、一体何の建物なんだろう?

ターゲットは楽しそうに寄り添いながら、そのうちのひとつの建物の中に姿を消した。

当然あとを追って私たちも中に入るのかと思ったら、尚史が立ち止まって無言で私の方を見る。

「ん?入らないの?」

「……逆に聞くけど、ホントに入っていいのか?」

「えっ、だってあの人たちが……」

「よく見ろモモ、ここがなんだかわかるか?」

尚史の指差す先には写真入りの看板があった。

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