インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「で、入るのか?」

「バカッ!入るわけないでしょ!」

「下見くらいは付き合うけど」

「そんなものは要らん!」

なんで私が尚史とラブホテルなんぞに入らにゃならんのだ!

ランジェリーショップと言い、ラブホテルと言い、冗談にもほどがある。

もしかして尚史は、私がうろたえたり恥ずかしがったりするのを面白がってる……?

「尚史……もしかして、私のことからかってる?」

おそるおそる尋ねると、尚史は意外そうな顔をして首をかしげた。

「ん?そんなつもりはないんだけど」

え、じゃあ本気で言ってたの?!

いや、尚史のことだから純粋に私のためを思ってのこと、いわゆる天然という可能性もある。

それはそれでたちが悪い。

「じゃあ駅まで戻ろうか」

「そうしよう、一刻も早く!」

私たちはホテル街をあとにして、駅までの道のりを手を繋いで歩いた。

駅に着いて改札の前で一度離した手を、尚史は改札を通り抜けると再び繋ぎ直す。

少し時間が遅いこともあり車内は比較的空いていて、二人並んで座席に腰を下ろした。

もうはぐれる心配などないのに、尚史は私の手を離そうとしない。

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