インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
私のこと可愛いだって?!

そんなの今まで一度も言ったことないのに、一体どうしちゃったんだ、尚史!

……あっ、そうか。

尚史は彼女に甘い溺愛系のイケメン彼氏を演じてるんだ。

これはいつか本物の彼氏ができたときに、気の利いた返しをできるようにする練習なのでは?

だったら私もそれに応えた方がいいんだろうか?

だけど男の人を喜ばせるような可愛げのある言葉が一言も思い浮かばない。

ここは素直にお礼を言うだけに留めておこう。

「ありがとう。尚史が選んでくれたからかな」

「あー……モモのこと一番知ってんのは俺だから当然だな。モモの服ならいつでも喜んで選ぶから、また一緒に買いに行こう」

「……うん」

私のことを一番知ってるって……どんだけ演技に没頭するんだ、この男は?

嘘でもそんなことを言われたら、一体どこまで知り尽くされているのかと思って、丸裸にされたみたいで恥ずかしくなる。

「まぁ……何着ててもモモは可愛いけどな」

はぁっ?!何を戯けたことを抜かしやがる……!

デレの演技もここまでくると白々しい。

そう思っているはずなのに、お世辞でも可愛いと言われれば嬉しいと思ってしまうのが女心だ。

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