インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「お父さんとお母さんはこれから出掛けるけど……ひとりで大丈夫?」

「たぶん寝てれば治ると思うけど……どこ行くの?」

「光子おばあちゃんのお見舞いに行って、そのあと伯父さんの家で光子おばあちゃんの治療のこととか今後のことについて相談するから、帰りは遅くなると思う」

母はハッキリとは言わないけれど、今後のことと言うのはきっと、光子おばあちゃんが亡くなったあとのことなんだと思う。

寝込んでいる場合じゃないのに、異性に免疫のない幼い自分と、熱のせいでろくに言うことを聞かない体が恨めしい。

「今日は光子おばあちゃんのお見舞いに行くつもりだったんだけど……。もし光子おばあちゃんにモモは来ないのかって聞かれたら、今日は急用ができて来られなくなったって言ってくれる?熱出したとか言わないでね」

「わかった、伝えとくわ。どうしてもつらかったら連絡しなさいね、早めに切り上げて帰ってくるから」

母は部屋を出てしばらくしてから、ペットボトル入りのミネラルウォーターとスポーツドリンクを持って戻ってきた。

きっと近所のコンビニにでも買いに走ってくれたんだろう。

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