インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「しんどいだろうけど、汗かいたら着替えるのよ。冷蔵庫にゆうべの晩御飯の残りとゼリーが入ってるから、もし起きて食べられそうなら食べなさいね」

「うん、ありがとう」

しばらくすると父と母が話す声や玄関のドアが閉まる音が微かに聞こえてきた。

どうやら出掛けたらしい。

さっきまで階下から聞こえていた両親の声や物音がしなくなって、部屋の中は静まり返っている。

普段なら家に一人になってもなんとも思わないけれど、これだけ熱が高いとなんとなく不安になるものだ。

私はベッドの中でスマホを手に取り、尚史へのメッセージを入力し始めた。

だけど高熱のせいで頭と視界がぼんやりして、おまけにスマホを持っているのも腕がだるくて、うまく文字が打てない。

何度も文字を打ち間違えては消して、また打ち直すことを続けているうちに睡魔に襲われ、だんだんまぶたが重くなって、あと少しのところで完全に意識が途絶えた。


どこかでゲームのBGMが流れている。

その音はすぐ近くから聞こえるような気もするけれど、遠くにも感じた。

ゆうべゲームをしているうちに寝落ちしたんだっけ?

起き上がってゲーム機とテレビの電源を切らなきゃと思っているとBGMが鳴りやんだ。

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