インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史はアイスのカップを手に取り、蓋を開けてそのまま渡してくれるのかと思いきや、スプーンでアイスをすくって私の口元に運ぶ。

これはまさか……またあのパターンか……?

「そこまでしてくれなくても、アイスくらい自分で食べられるよ」

「いいじゃん、彼氏が彼女の看病するなんて普通だろ?病気のときくらい甘えとけって」

こいつめ……。

知恵熱ってバカにするわりには、また熱が上がりそうなことを平気でしやがる……!

それに『甘えとけ』ってなんだ?

尚史は歴代の彼女にはやけにそっけなかったようだけど、本当は甘やかしたいタイプ?

今私にしてくれているのと同じように、甲斐甲斐しく看病してあげたりはしなかったのかな。

仮想彼女の私に対してもこれだけ甘いんだから、いつか本物の彼女ができたら、その子にはきっと私といるときとは全然違う顔を見せたりもするんだろう。

「そういうのをさ、これまでの彼女にもやってあげてたら、もっと長続きしたのかもね」

ちょっと皮肉を込めてそう言うと、尚史は眉間にシワを寄せて心底イヤそうな顔をした。

「……それはめんどくさいからイヤだ」

『めんどくさいからイヤ』だって?

彼女にはめんどくさいからイヤなのに、私の世話を焼くのはめんどくさくはないのか?

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