インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
ひんやりしたシートはもちろんだけど、微かに触れた尚史の指先から伝わる体温までもが心地よい。

人間というのは、体が弱っていると人のぬくもりさえもが心地よくなるものなんだろうか。

『手当て』という言葉もそこから来ているらしいし、なんとなくなるほどと思う。

「これでよしと」

「尚史はアイス食べないの?」

「俺はいい。モモに食べさせたかっただけだから」

尚史はこんなときまでさりげなくイケメンなことを言う。

それは私のためだけにお高いアイスをわざわざ買ってきたという意味か、それともただ私に『あーん♡』をしたかったのか。

どちらにしてもそんなことを言われたら、特別扱いされてちょっと嬉しいような、以前の尚史なら想像もつかなかった言葉がくすぐったいような、妙な気持ちになる。

「……尚史ってかなり過保護だよね」

「そうか?まぁ、雑に扱われるよりいんじゃね?そんなことより、はよ寝ろ」

「寝ろって言われても……さっきまで寝てたし眠くない」

「あー……それもそうか。どうしても退屈なら話し相手くらいにはなれるけど、とりあえず横になって体だけは休めとかないとな」

< 184 / 732 >

この作品をシェア

pagetop