インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
みっちゃんの言うことはもっともだけど、本当に私なんかがそんな場所にいていいんだろうか?

「いや、でも……」

「モモ、急いで結婚したいんだよね?待ってたって状況は何も変わらないよ」

「えっ?ああ、うん……そうだね……」

結局みっちゃんの一言が後押しとなり、私は人生初の合コンに参加することになった。

【今夜は遅くなるから晩御飯は要らない】と母にメッセージを送ると、【なんだ、カレーいっぱい作っちゃった!帰って食べられそうなら食べてもいいよ、明日もカレーだけど♡】と返信が届いた。

カレーは好きだし、せっかく作ってくれたんだから少しくらいは食べようかな。

もしかしたら合コンの席では緊張してあまり食べられないかも知れないから、帰ったら母の作ったカレーがあると思うと少しホッとした。

しかしそんな安心感も、武器も防具も持たず丸腰の状態で完全アウェーの場所に赴くにはなんの役にも立たない。

待ち合わせの店に向かう道のりですでに、期待よりも不安と緊張で全身がガクガクブルブル震え、ギクシャクと音がしそうなほど動きがぎこちなくなる。

せめてなんとか一次会が終わるまでこの身が持ちますようにと心の中で祈りながら、谷口さんの後ろをついて歩いた。

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