インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
世の中のリア充の人たちはみんな、こんな緊張状態で合コンに挑むんだろうか?

……いや、コミュ力の高いリア充の人たちはそんなことはないか。


合コンに参加する谷口さんの大学時代の友達は2人とも今時のおしゃれ女子で、笑顔も仕草もかわいくてキラキラしていて、おまけにいいにおいがした。

いつも通り仕事をしてまっすぐ家に帰るつもりだった地味なスーツ姿の私は完全に浮いている。

私以外の女子3人は元々友達だったこともあって楽しそうにおしゃべりしているけれど、女子力の高い3人の会話の内容が女子力皆無の私には半分もわからず、相手が気を遣って話を振ってくれても、ひきつった笑みを浮かべて相槌を打つのが精一杯だった。

私、なんて場違いなんだろう。

男性陣が到着する前に早くもここに来たことを後悔し始めた。

それでも来てしまった以上は「やっぱり帰る」とは言えないから、せめてボロが出ないように大人しく食事してやり過ごすしかなさそうだ。

それから10分ほどして4人連れの男性客が店内に入ってきた。

一番手前にいた男性は谷口さんに気付くと笑って軽く右手をあげる。

どこかで見たことのある顔ばかりだと思ったら、たまにビルの中で顔を合わせる尚史の会社の人たちだ。

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