インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
急いでプリンを食べ終え、飲み物を持って二人で部屋に上がろうとすると、母が「そうだ、尚史くん」と声をかけた。

二人して振り返ると、母はニッコリと笑った。

「もう大人だから余計なお世話だとは思うけど、家にはちゃんと帰りなさいね。いくらうちでも無断外泊はダメよ、洋子ちゃんが心配するから」

ハッキリとは言わないけれど、これは一応『うちの大事な一人娘に手を出したりしないでね』と牽制しているのか、それともその言葉通り、『お母さんに心配かけちゃダメよ』という意味なのか?

母の表情からはその真意がまったく読み取れない。

尚史もまさかここでダメ出しがあるとは思っていなかったのだろう。

これにはさすがに驚いたようだ。

「……以後気を付けます」

「そうしてね」

なんとなくギクシャクしながら二人で2階に上がり、部屋に入ってドアを閉めた途端、思わず顔を見合わせた。

「……俺、なんか疑われてる?」

「そんなことはないと思うけど……」

「そうかな?『責任は取ってくれるのよね?』って、俺には聞こえたんだけど」

尚史も私と似たようなことを感じていたようだ。

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