インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
それってつまり、どうせ疑われてるなら本当にしてしまおうとか、そういうこと?

それともこういうことをしたら私がうろたえると思って冗談で言ってる?

いくら相手が尚史でも、冗談でそんなことを言われるのはいい気がしない。

それに私がイヤがることはしないという約束だったのだから、芝居でも冗談でも、これ以上はさすがにアウトだ。

「冗談にもほどがあるよ。そろそろ離してくれる?」

「……ハイハイ、そうですね」

尚史はゆっくりと私を抱き起こして手を離した。

その表情は至っていつも通りだ。

「悪ふざけして悪かったよ」

「ホントにね。あんまり調子に乗ったら次は遠慮なく殴るから」

「モモにだけは嫌われたくないからやめとく。それじゃあそろそろ帰るわ。明日のことはまたゆっくり聞かせてもらうからな」

鞄を持って立ち上がった尚史は、ドアの前で立ち止まって振り返り、私の頭に手を置いた。

「そうだ……これだけは言っとく。あんまり飲みすぎるな。酒の勢いだけで体許したりするなよ、やり逃げされるだけだからな」

「や……やり逃げって……」

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