インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
大好きな漫画を読んでいるときはあっという間に時間が過ぎるのになと思いながらチビチビお酒を飲んでいると、谷口さんが「自己紹介も済んで場も盛り上がってきたことだし、そろそろ席替えをしましょう」と提案した。

今は隣に谷口さんがいるけれど、席替えをするということは、場合によっては全然知らない人が両サイドに座るということだ。

そんな苦行に耐えられるだろうか。

せめて片側だけでも、よく知った仲の尚史が座ってくれないかな。

そう思ったけれど、そもそも合コンというのは新しい出会いを求めて来るものだし、私も今日は早く結婚できる相手との出会いがあればと思って来たわけだから、ここで幼馴染みの尚史と仲良くしても意味がないのでは?

そう、私は光子おばあちゃんのために、すぐにでも結婚してくれる相手を見つける必要があるんだ。

私だってやるときはやる!

やればできる!

できるはずだ!

できると思う!

……できるんじゃないかな?

きっと、多分、おそらく、maybe……。

できると思いたい……。

いや、やるしかないんだからやれよ!

四の五の言って限りある時間を無駄にするわけにはいかないんだから、もっと積極的に話しかけて、せめてヲタクの同志やゲーム仲間とは別の人脈を広げないと!

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