インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
『好きでもない男の前で無防備に目なんか閉じるなって言っただろ?モモはホントにそれでいいのか?』

私の頭の中で尚史は呆れた顔をしてそう言った。

覚悟を決めたはずなのに、私はとっさに顔をそむけ、八坂さんにつかまれた両手をなんとか動かそうと体をのけぞらせた。

「ま……待って……まだ心の準備が……」

「モモちゃん、優しくするからそんなに怖がらないで」

ちゃんと返事も聞かないうちに酔った女を押し倒して、『優しくする』ってなに?!

もう最後までやる気しかないじゃん!

八坂さんってこんな人だったの?!

「いや、あの、ちょっと……!」

八坂さんはさらに強い力で私の手をつかみ、もう片方の手であっという間に私のジャケットのボタンを外して、ブラウスのボタンに手を掛けた。

肩口に顔をうずめられ、私の頬に八坂さんの頬が触れて耳に生温かい息遣いを感じると、とてつもない不快感と嫌悪感がゾワゾワと全身を駆け巡り、息が止まりそうになる。

ダメだ……この人気持ち悪い!

もう無理、耐えられない!!

「や……やめて……」

「ここまで来てそれはないよ。モモちゃんだってその気で来たんでしょ?」

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