インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
悔しいけど私は、尚史とこうしていると安心するらしい。

それはきっと尚史が私を大事に思ってくれていて、私も尚史を誰よりも信頼しているからだと思う。

だから私も尚史を大事にしたいし、いつか恋人ができたり結婚して離れてしまっても、お互いを大事な幼馴染みだと思う気持ちは変わらないと信じたい。

仮想カップルの特訓の成果は出せなかったのに、一番大事なことに気付けたから、それで良かったんだと思えた。

それから二人とも黙ったまま手を繋いで駅までの道のりを歩き、電車に乗って当たり前のように距離を詰めて座った。

仮想カップルのときの名残なのか、それともこの距離感が定着したのか。

危ないところを助けに来てくれたことが嬉しくてすっかり頭から抜け落ちていたけど、谷口さんとはどうなっているんだろう?

もし本当に尚史が谷口さんと付き合っているのなら、私がこんな風に尚史とくっついているのは良くないと思う。

だけど今だけは尚史に少しでもそばにいて欲しいと思ってしまう。

何も知らないふりをして、彼女のいるべきポジションにいる私はずるい。

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