インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「なぁ、モモ。デートの予定もなくなったことだし、明日は一緒におばあちゃんのお見舞いに行こうか。この間は熱出して行きそびれただろ?」

せっかくの休日なのに谷口さんをデートに誘わなくていいのかと尋ねようかと思ったけど、尚史は尚史なりに私を気遣ってくれているのだろう。

それに尚史が言わないことを私からいちいち詮索するのもどうかと思うし、尚史はそういうことをされるのは面倒だといやがるはずだ。

だから私は素直にうなずいた。

「モモが無理して好きでもない男と結婚するより、元気な顔見せる方がおばあちゃんは喜ぶと俺は思う」

「……うん、そうだね」

光子おばあちゃんの願いを叶えてあげたいと言う気持ちはまだ捨てきれないけれど、尚史の言う通り、婚活に必死になるあまりお見舞いに行けなくなってしまったら、光子おばあちゃんに寂しい思いをさせてしまう。

今回の八坂さんとの一件で、とんでもないミラクルでも起こらない限り、今の私には到底結婚なんてできそうもないと身に染みた。

本物の花嫁になれるのはまだまだ先か、もしかしたら一生そんな日は来ないかも知れないから、花嫁姿は尚史と一緒にブライダルサロンで試着したときの写真で我慢してもらうしかなさそうだ。


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