インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
母も一緒にお見舞いに行くと連絡してから1時間ほど経った頃、尚史が私と母を車で迎えに来てくれた。

私は助手席に、母は後部座席に乗った。

尚史の運転で車に乗るのはずいぶん久しぶりだ。

母は尚史が来る前に近所のスーパーに行って、光子おばあちゃんの好きなリンゴとバナナを買って来たらしい。

私と尚史も田沢屋に寄って金平糖と手鞠飴とあんこ玉、それから少しずつ食べられる個包装の小さなどら焼きとお饅頭の詰め合わせを買った。

病院に向かう車中で、母は運転している尚史に話しかける。

「そうそう、尚史くん聞いた?モモねぇ、いい感じだった人にフラれたらしいの」

「だからフラれたんじゃないって言ったでしょ!」

聞いたも何も、私を危機から救ってくれたのは尚史だ。

尚史が母に余計なことを言わないかと少し心配になる。

いや、この場合余計なことを言う心配があるのは母の方か?

「そうだっけ?まぁどっちにしてもその人はありえないし、結婚はあきらめるって」

「うん、その話なら知ってる」

「彼氏もいないモモには最初から無理な話だったんだから、結婚はせめてまともに恋愛してから考えなさい って言ったらムキになっちゃって、明日から婚活再開するんだって」

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