インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
母の一言に、尚史はムッとして視線をチラリと私の方に向けた。

「……まだやるつもり?」

「だってそこまで言われたら悔しくて……それに1か月以内に結婚できたら結婚に掛かる費用全額出してくれるって言うし……」

尚史は呆れた顔をして大きなため息をついた。

昨日あんなことがあったのに懲りないやつだと思っているんだろう。

「全然わかってないな、モモ」

「ごめん……」

あんな怖い思いをするなら私には結婚は無理だからあきらめると言ったのは私なのに、たった一晩で言うことが180度変わっているのだから、尚史が呆れるのも無理はない。

尚史は本気で私を心配して止めてくれているんだから、あとでもう一度ちゃんと謝っておこう。

病院に着いてロビーに入ると、尚史は珍しそうにステンドグラスの窓を見上げた。

「すごいな、これ。でっかい教会みたいだ」

「うん、キリスト教のプロテスタント系の病院でね、クリスマスにはロビーでゴスペルのミニコンサートなんかもやるんだって。そうそう、敷地内に小さい教会があって牧師さんもいて、この病院のお医者さんと看護師さんが結婚式挙げたこともあるらしいよ」

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