インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「ちゃんと覚えてるよぉ。大きくなったねぇ。尚史くんはおばあちゃんの作ったおはぎ、いっぱい食べてたもんねぇ」

「おばあちゃんのおはぎ大好きなんだよ、めちゃくちゃ美味しいから」

「そうかね。じゃあまた作ってやらんといかんねぇ」

光子おばあちゃんは嬉しそうに笑って尚史の手を握る。

尚史も優しい笑みを浮かべて光子おばあちゃんの手を握り返した。

もしかしたら尚史のことは忘れているかもとか、思い出せないかもと思っていたから、光子おばあちゃんが尚史を覚えていたことが、私も自分のことのように嬉しい。

「光子おばあちゃん、これ私と尚史からのお土産」

紙袋を開けて田沢屋で買ってきたお菓子を見せると、光子おばあちゃんは懐かしそうに微笑んだ。

「ああ、おばあちゃんの好きなものばっかりだ。よく一緒に食べたねぇ」

「うん、懐かしいね」

今日の光子おばあちゃんは認知症を患っているのが嘘みたいに、私たちが小さい頃のたくさんの思い出話をして笑っていた。

ついさっきのことは忘れてしまっても、ずっと昔のことを鮮明に思い出したりすることはあるようだ。

その記憶がとてもしっかりしていたので、伯母さんと母は「こんなこともあるんだね」と言って目を丸くしていた。

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