インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
しばらく話をしたあと、光子おばあちゃんが少し眠そうにし始めたので、そろそろ帰ろうかということになった。

「光子おばあちゃん、私たちそろそろ帰るけど、来週もまた来るからね」

私が声をかけると、光子おばあちゃんは眠そうではあったけど、やっぱりニコニコ笑いながらうなずいた。

「嬉しいねぇ。モモちゃんと尚史くんの結婚式、楽しみだねぇ」

…………ん?

私と誰の結婚式だって?

『モモちゃんと尚史くんの』って聞こえたような気がするけど、気のせいか?

「光子おばあちゃん?今なんて……」

「良かったねぇ、モモちゃん。尚史くんは昔からモモちゃんが大好きだったから、尚史くんのお嫁さんになったらずっと大事にしてもらえるねぇ」

認知症の影響か、光子おばあちゃんは私と尚史が結婚すると思い込んでいるようだ。

いくらなんでも尚史本人の前で『そうだよ』と嘘をつくことはできない。

「えっ?ちょっと待って、それは……」

私があわてて否定しようとすると、尚史は私の肩を叩いて首を横に振った。

そして光子おばあちゃんの手を握って大きくうなずく。

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