インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「そうだよ、おばあちゃん。俺がモモを幸せにするから安心して。だから早く元気になって、結婚式には必ず来てよ」

「もちろんだよぉ。一番上等の着物着て行くからねぇ」

私はポカンと口を開けて、光子おばあちゃんと尚史の会話を聞いていた。

母は伯母さんと顔を見合わせてニヤニヤしている。

えっ、なんだこれ?

いつの間に私は尚史と結婚することになってるの?!

光子おばあちゃんがそう言うのはしょうがないとしても、どうして尚史自身が否定しないどころか結婚式に来てくれと言うんだ?

尚史は私と結婚する気なんかないのに、光子おばあちゃんをがっかりさせたくなくて嘘をついている。

もし私と本当に結婚してくれるという人が現れたとしても、『尚史は嘘をついていたんだよ』と言って別の人を紹介したら、光子おばあちゃんは悲しむんじゃないか?

これアカンやつや……。

嘘をつき通すのが光子おばあちゃんのためなのか、今すぐ否定して急いで別の人を探した方がいいのか、だんだんわけがわからなくなってきた。

騙されているとも知らず嬉しそうに笑っている光子おばあちゃんを見ているといたたまれない。

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