インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
尚史は珍しそうに婚姻届の用紙を眺めたあと、小物入れの引き出しからボールペンと判子を取り出して、躊躇なく記入し始めた。
「尚史……なんのためらいもなく……」
「当たり前だ。結婚費用全額負担してくれるなんて、こんなにオイシイ話はない。モモも書け、今すぐ。モモには迷ってる時間なんてないはずだろ?」
「う、うん……そうだね……」
確かに尚史の言う通りだ。
光子おばあちゃんを蝕む病魔は一刻たりとも待ってはくれないし、少しでも光子おばあちゃんの意識がハッキリしているうちに花嫁姿を見せてあげるには、ぐずぐず悩んでいる暇なんてない。
身内ではない尚史が光子おばあちゃんのためにここまで思いきってくれたんだから、孫である私が覚悟を決めなくては。
動揺を鎮めるためにひとつ大きく深呼吸した。
最初から私の目的は、光子おばあちゃんに花嫁姿を見せるために結婚することだった。
そんな私の気持ちを理解した上で、本当に結婚して光子おばあちゃんの願いを叶えてくれる人なんて、尚史しかいないじゃないか。
──大丈夫、なんとかなる。
尚史は自分の記入欄に署名と捺印を済ませた婚姻届用紙を私の方に差し出した。
「尚史……なんのためらいもなく……」
「当たり前だ。結婚費用全額負担してくれるなんて、こんなにオイシイ話はない。モモも書け、今すぐ。モモには迷ってる時間なんてないはずだろ?」
「う、うん……そうだね……」
確かに尚史の言う通りだ。
光子おばあちゃんを蝕む病魔は一刻たりとも待ってはくれないし、少しでも光子おばあちゃんの意識がハッキリしているうちに花嫁姿を見せてあげるには、ぐずぐず悩んでいる暇なんてない。
身内ではない尚史が光子おばあちゃんのためにここまで思いきってくれたんだから、孫である私が覚悟を決めなくては。
動揺を鎮めるためにひとつ大きく深呼吸した。
最初から私の目的は、光子おばあちゃんに花嫁姿を見せるために結婚することだった。
そんな私の気持ちを理解した上で、本当に結婚して光子おばあちゃんの願いを叶えてくれる人なんて、尚史しかいないじゃないか。
──大丈夫、なんとかなる。
尚史は自分の記入欄に署名と捺印を済ませた婚姻届用紙を私の方に差し出した。