インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「仮想カップルのときは人の真似してるだけだったし、いつもはデートじゃないけど、俺が行きたいとこに行って、俺の食べたいもの食べて、俺のやりたいことやって、それにモモが付き合ってくれてるから」

私はいつも尚史と一緒に行く店が好きだし、どこで何をしても気楽に楽しめるから、不満なんてまったくない。

むしろ今日みたいな店の方が落ち着かないんだけどな。

「私、いつも尚史と一緒にいてつまらないと思ったことなんてないし、私が楽しいと思ってるから一緒にいるんだよ?」

「そっか……。モモのことは俺が一番わかってるつもりでいたけど、俺、ホントは全然わかってないかも……」

「なんでそう思うの?」

「モモが好きな食べ物とか漫画家とかゲームとか、モモの好きなものはいっぱい知ってるはずなのに、どうすればモモが喜んでくれるのかがわからないんだ。俺が今まで知ろうとしなかったからだと思って、女の子が好きそうなものとか喜びそうなこととか、谷口さんにいろいろ教えてもらったんだけど……モモは喜ぶどころか急に怒って帰るし……」

尚史はポツリポツリと恥ずかしそうにそう言って、私の手をギュッと握りしめた。

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