インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
ヤキモチ焼かれて嬉しいなんて、そんなシーンを漫画で読んでいたときはどうかしてると思っていたけど、今ならなんとなくその気持ちがわかるような気がする。

私が尚史を好きじゃなかったら、尚史がどれだけ谷口さんと仲良くしていてもヤキモチを焼いたりはしなかっただろう。

誰かを好きだと自覚すると、今まで知らなかった気持ちがどんどん溢れて忙しいものなんだな。

尚史もそんな気持ちになったりするんだろうか。

いつか機会があったら聞いてみたいと思う。



病室に入ると、光子おばあちゃんはベッドに横になってぼんやりしていた。

「光子おばあちゃん、具合はどう?」

私が声をかけると光子おばあちゃんはやっと私たちに気が付いたようで、少し笑って見せた。

「モモちゃん、今日も来てくれたのかね」

「そうだよ。先週来たときに、来週も来るねって言ったでしょ?」

「そうかね」

光子おばあちゃんは先週のことを覚えていないのか、相変わらずぼーっとしている。

「光子おばあちゃん、今日も尚史が一緒に来てくれたよ」

「ああ、ああ……尚史くんかね。結婚式以来だねぇ」

「結婚式以来?」

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