インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
あまり可愛すぎる指輪は少し恥ずかしいし、かと言って尚史の好みに合わせると、小さくて短い私の指には似合わなさそうだ。

「いらっしゃいませ。マリッジリングをお探しですか?」

張り付くようにしてショーケースの中を覗いていると、スマートできれいな店員さんが声をかけてきた。

「よろしかったらケースからお出ししますよ」

尚史は平然として受け答えしているけれど、私はこんな風に接客される店には慣れていないから、さらに緊張して顔がひきつる。

尚史はそんな私の心中を察したのか、私の手をギュッと握って笑いかけた。

「モモ、気になるのある?」

「えーっと……よくわからないんだけど……尚史はどれがいいの?」

「俺はモモが好きなのがいい」

これではまるっきりバカップルのやり取りだ。

そう思われるのはさすがに恥ずかしいので、たくさん並んだ中からシンプルなデザインのものを選んで指さした。

「これなんかシンプルで良さそうだけど……」

「シンプルなのがいいの?」

「シンプルなのがいいって言うか、指輪なんかしたことないから、自分の手にどれが合うのかがわからないの」

「じゃあいろいろ試してみようか」

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