インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
「モモ、俺が選んでもいい?」

「尚史が気に入ったのがあるなら、そうしてくれて構わないよ」

これまで付き合った人とは全然長続きしなくて、まともに付き合った試しがないから、こんな風に指輪を見に来ること自体が初めてだ。

それに私は元々アクセサリーに興味がなかったから、ずらっと並んだ指輪を見ても『きれいだな』とか『可愛いな』と目移りするばかりで、とてもひとつに絞りきれそうもない。

正直に言うと、尚史が一番いいと思うものを選んでくれたら、私の手に似合っていようが似合わなかろうが、私にとってもそれが一番なんだと思う。

「うーん、迷うな……。じゃあ、これとこれと……これも見せてください」

「かしこまりました」

尚史は婚約指輪と重ねて着けるタイプのものばかりを、3つ選んでトレイに乗せてもらい、私の左手の薬指にひとつずつはめた。

「うーん、どれも捨てがたいなぁ……。モモはこの中だったらどれが一番好き?」

「どれも可愛いから迷うなぁ……」

自分の手にはどれももったいないくらいの可愛さだ。

さっきから私のことばかり気にしているけど、尚史は自分も指輪を着けることを忘れているのか?

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